特定建設業の許可が必要となるケースについて
発注者から直接請け負う建設工事において、以下のいずれかに該当する場合は、特定建設業の許可が必要です。
- 建築工事業:下請契約の総額が 8,000万円以上
- その他の工事業:下請契約の総額が 5,000万円以上
※下請契約が複数ある場合は、その合計金額で判断します。
※金額には消費税および地方消費税を含みます。
※元請業者が提供する資材等の価格は含みません。
この許可制度は、工事の適正な施工を確保するとともに、下請業者の保護を目的としています。
特定建設業の許可には、一般建設業の許可の基準に加え、次の基準に適していることが必要です。
一級相当の特定営業所技術者の設置
区分 | 専任技術者の要件 |
---|---|
指定建設業(土・建・電・管・鋼・舗・園) | ① 1級の国家資格者② 技術士③ 1級相当と大臣が認定した者 |
指定建設業以外の業種 | ア 1級の国家資格者または技術士 |
イ 一般建設業の営業所技術者等となる資格要件を満たす者で、次の条件を満たす者:・許可を受ける業種について、発注者から直接請け負う工事の請負代金が4,500万円以上・2年以上の指導監督的な実務経験 ※昭和59年10月1日前は請負代金1,500万円以上の期間を算入可。平成6年12月28日前は請負代金3,000万円以上の期間を算入可。 |
より高度な財産的基礎を有すること(財務要件)
許可申請時直前の決算期の財務諸表(新規設立の場合は創業時の財務諸表)で、次の全ての要件を満たすこと。
項目 | 要件 | 補足・注意点 |
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資本金の額 | 2,000万円以上 | 直前決算時に未達でも、増資により申請前に要件を満たせば可(資本金変更届の提出が必要) |
自己資本の額 | 4,000万円以上 | ― |
欠損の額 | 資本金の20%以下 | 法人の場合:貸借対照表の繰越利益剰余金が負の場合、その額が資本剰余金・利益準備金・その他利益剰余金の合計を上回らないこと 個人の場合:事業主損失が事業主借から事業主貸を控除した額に、負債の部の利益留保性引当金・準備金を加えた額を上回らないこと |
流動比率 | 75%以上 | 流動比率=(流動資産 ÷ 流動負債)×100 |
特定建設業の許可に関する注意点
- 特定建設業の許可を維持するには、一般建設業よりも高い「技術力」と「資金力」が必要です。
- これらの要件を満たせなくなった場合、特定建設業の許可は失効します。
一般建設業への移行は自動ではない
- 特定の要件を失ったからといって、自動的に一般建設業の許可へ切り替わることはありません。
- 一般建設業の要件を満たしている場合でも、新たに許可申請(または追加申請)を行う必要があります。
許可失効の影響
- 許可が失効すると、その業種については一切の許可を持たない状態になります。
- 経営事項審査も無効となり、入札に長期間参加できなくなる可能性があります。
- これは事業継続にとって重大なリスクです。
日頃からの対策が重要
- 特定建設業者は、財務状況や技術者の配置状況を常に確認・維持することが重要です。
- 許可の維持には、定期的なチェックと早めの対応が不可欠です。
(最終更新:2025年10月 最新の法改正に対応済み)